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ステンレス紹介

分類

ステンレス鋼は化学成分及び金属組織によって大別され、化学成分上Fe-Cr系、Fe-Cr-Ni系に分類され、金属組織上ではオーステナイト系、フェライト系、マルテンサイト系、二相系及び析出硬化系に分類される。ステンレス鋼は鉄(Fe)を主原料とし、Cr、Niを主原料として含有しているがCr、Ni以外の元素を添加することで様々な特性を持つステンレス鋼を製造することができる。

精錬技術の急速な発展で、極低炭素フェライト鋼、窒素添加鋼など新鋼種を開発し、現在まで規格上では合計63種(オーステナイト系31、フェライト系13、マルテンサイト系14、二相系2、析出硬化系3)を量産化している。
日本では、メーカー毎に独自鋼種を開発し2,000種余りが登録されている。ステンレス鋼の発展過程ではCrがメイン成分のマルテンサイト系、フェライト系から、Cr-Ni成分のオーステナイト系につながり、基本組成からその他元素を添加変化させ、各種用途に合わせた鋼種が開発されてきた。

ステンレス鋼の分類表

区分 化学成分上の分類 金属組織上の分類
ステンレス鋼 Fe-Cr-Ni合金系 オーステナイト系 304(L/H/N/LN)、316(L/H/N/LN)、321(H)、347(H)など
二相系 S31803、S32205、S32507、S32304など
Fe-Cr合金系 フェライト系 430(M/Ti/LX/J1L)、439(Nb)、436Lなど
マルテンサイト系 410(L/B)、409(L/H)、420(J1/J2/N1)など
析出硬化系 630など

オーステナイト系

304代表鋼種で18%Cr、8%Niが基本組成

面心立方(FCC)格子で常温・低温・高温でも安定した状態で存在

非磁性体(高温 δ-フェライト組織の残留で微細な磁性が存在)

304L、316Lなど海洋・石油化学など産業設備に適用

二相系

オーステナイト相とフェライト相の混合組織

常温で強度・耐食性に優れる(特に海水に強い)

低温の脆性や高温での強度の減少 (使用温度範囲: -50~200℃)

S32205、329J1など海水淡水化設備、上水道構造物などに適用

フェライト系

体心立方(BCC)格子で鋼磁性体、低温脆性が存在

耐食性はオーステナイト系より劣位、応力腐食割れ(SCC)は優位

熱処理で強化せず、冷間加工性に優れる

430、430J1など洗濯槽、電子レンジなどの家電製品に適用

マルテンサイト系

常温で鋼磁性体・強度に優れ、高強度構造用に使用

耐食性が劣位、空冷/油冷による生産性の減少

410、420Jなど刃物、ハサミなどに使用

析出硬化系

時効熱処理による金属間化合物(Cu、Al、Ti、Nbなど)を析出させ強度向上

630など高強度が必要な産業設備で使用

ステンレス鋼の規格材料記載後記の意味

後記記載の記号 意味 限界
L Low Carbon max. 0.03% - ‘L’なしの場合炭素量はmax.0.08%である。
H High Carbon 0.04 ~ 0.10%

- 粒子粗大化を通じて耐Creep性を向上

- 粒度規格制限No.7以下

N 窒素(N)を添加した合金 0.10 ~ 0.16%N - Moと同時に存在の場合、耐食性向上
Cb (Nb) Nbを添加した合金 10 x C% min. ~ 1.10 max

- 高温安定化元素(Nb)の添加鋼

- 耐粒界腐食性の向上

Ti Tiを添加した合金 5 x (C+N)% min. ~ 0.70% max.

- 高温安定化元素(Ti)の添加鋼

- 耐粒界腐食性の向上

- Cの固溶度がNbより大きく、小量でも可能